いづみや製菓
和田大橋のすぐ側にあるいづみや製菓。
「戦後まもなく開業したせんべい屋です。甘い物で笑顔と幸せを広げたいという想いで、
祖父がはじめました。当時は砂糖が高価でなかなか手に入らない時代だったので、
サツマイモでおせんべいを焼いたそうです。」とお話を聞かせてくださったのは、
いづみや製菓70年の歴史を繋いでおられる4代目の廣内尚哉さん。
創業以来、「おじいちゃん、おばあちゃんたちが孫達と、笑顔で素朴なお菓子を囲みたくなる味を
伝えていきたい。」という想いで、ひとつひとつ丁寧に、手作りでおせんべいを焼いていらっしゃいます。
廣内さんのごく自然体なお人柄は「後を継ぐという意識は、全く無かったんです。
継いで欲しいと言われたこともないんです。ごく自然な流れで、現在に行きつきました。」
という言葉からもうかがい知れます。
「代々伝わる素朴な味わい、丹波の物をできる限り使用し、
我が子をはじめとする全ての子ども達に、安心して食べてもらいたいです。
使用する食材にも気を配っています。何よりも、子どもが食べてくれることが嬉しいです。」
昔ながらの味を引継ぎ、かつ現在の流れの変化を受け入れ、
未来へ繋いで行かれる優しい想いが伝わってきます。
20年前に店舗を移動され、工場と販売所がひとつになりました。
おせんべいを作られるだけでなく、販売されるところまで手掛けていらっしゃる廣内さん。
「お客様との対話から、様々な気づきを与えて頂いてます。自然と変化させられるんです。」
と幸せそうにお話されました。
商品によっては手書きのモミジとカタクリをパッケージにされているものもあります。
これは廣内さんのお婆ちゃんが趣味で描かれていた絵が元になっているそうで、
何とも言えぬ温かさが伝わってきます。
おせんべいに印字される印字の受注も受けておられ、会社や法人など企業からの依頼により、
その会社独自のおせんべいの注文を受けられるなど、多くの方面から慕われている廣内さん。
現在では、『お嫁さんせんべい』、『あかちゃんせんべい』など、
多種にわたる印字の注文を依頼することができます。近年では、
出産の内祝いとしてお子様の名前印字を作られ、お礼返しをされる方もいらっしゃるのだとか。
体を温めてくれることで有名な生姜の入った『生姜せんべい』、
10月から6月に期間限定販売のピーナッツの入った『格子せんべい』の二つが
長くお店の顔となっています。
また通のお客様が好まれるのは濃厚な黒糖を使用した黒生姜せんべいなのだそうです。
「若い頃は地元丹波という田舎に住むということは考えられませんでした。
現在は、丹波に戻って良かったと思います。自然に囲まれているって、心が洗われます。」と、
充実した表情でお話し下さいました。
そんな廣内さんの現在の趣味は、30歳を過ぎてから始められたゴルフ。
お義父さまとそのお兄さまとコースを周られ、週に一度の打ちっ放し練習もしていらっしゃいます。
「10代から70〜80代の幅広い年齢で出来る競技に感動しました。」とも
おっしゃられていました。お仕事を休まれる際は、決まってお子様の行事だそうで、
ご家族との時間を大切にしていらたしゃるからこそ、
代々続く美味しい『夢菓子ながら』の素朴なおせんべいを、世に繋げて行かれる由縁なのでしょう。
〈Information〉
【住所】 兵庫県山南町和田 190-2
【TEL】 0795-76-0153
【FAX】 0795-70-8080
【HP・購入できるサイト】http://www.idumiyaseika.com/
【駐車場】 あり
【営業時間】 8:00~18:00
【定休日】 不定休
2014.04.30
Interview writing Juka Oka