伝統料理を伝える氷上つたの会の生みの親、
大木智津子さんちの食卓。

 

自分と同じ専業農家の女性たちが熱心に勉強している。
「農村婦人大会」で、生活改善に向けて学んでいる多くの主婦との出会いが、
大木智津子さんにとって大きな転機となりました。

 

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photo |  大木智津子さん

もともと、お孫さんたちのアレルギーやアトピーをきっかけに、食品添加物や食品の安全性について勉強を重ねていた智津子さん。地域をもっとよくしたい、そして地域の発展に少しでも貢献したい。そんな想いを持った人たちとの出会いに影響を受け、周りの人に呼びかけを行い、生活改善実行グループを立ち上げました。これがのちの「氷上つたの会」の始まりです。

地域のお祭りなどでおいしい屋台やお弁当を提供し、また梅干しやおかき、ケチャップ等の加工品も人気が高く、地域の人に20年以上愛され続けてきた「氷上つたの会」。その道のりは、決して平たんなものではありませんでした。氷上つたの会は平成五年、当時丹波市が合併する前の氷上町にて、「氷上町の特産品を作ってもらえないか」と言われたのがそもそもの始まりでした。それから今に至るまで、つたの会にはいろんなことがありました。たくさんの特産品の加工を行うために加工所を作る、そしてその加工所を維持するということも、経済的な余裕のない中で難しく思われました。しかしそれは、少しずつ出資をしたり、使わないものを譲り受けたりなどの知恵をみんなで出し合う中で乗り越えてきました。メニューについても連日連夜集まって工夫し、試作を重ねて作られたものが最終的にはボツになることもありました。

「(こうして苦楽を共にしたメンバーは、)本当に頼りがいのある仲間なんです。
今は亡くなった人も3人ありますけど、本当に苦労する中、片腕のようになってやってくれました」。
智津子さんにとって「かけがえのない」、という言葉でも表せないような大きな縁です。

dentoshoku1dentoshoku3photo |  つたの会の立ち上げを支えたメンバー

氷上つたの会のお弁当や、ケチャップをはじめとした加工品はすべて「科学的な、人工的な添加物を入れないで作ろうということで、最初から始めました。畑からとってきた泥つきのものを、洗って、皮をむいて…というところからやっています。お米も、どこで作ったお米か言えるんですよ。本当に『おいしい』と思った農家の人に頼んで、つたの会用につくってもらっています。

いつしか「氷上つたの会のお弁当は、『しょうみ(丹波弁で本当、本物という意味)』のお弁当や」と言われ、口コミで人気が広がりました。普段の食生活から、安全に食べられるものをと工夫されている智津子さん。子育て中のお母さん世代にも、食育についてお話しされる時間を持っていらっしゃいます。

「難しいことから始めなくても、身近なところで『だし』を、昆布やとか花かつおでとることから始めてみたら。私は花かつおを、お茶パックに入れといて夜にお鍋の水に浸しておくと朝にはだしがでています。お醤油なんかも、信頼できる物を買って、それを少し移し替えてそこに昆布やカツオをいれるとおいしいだししょうゆができますよ。」

無理なくはじめられるところから食事について考え直してみてほしい、
「体にやさしい地産地消について伝えたい、そんな想いが今も智津子さんを動かしています。

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photo |  持ち寄られたお料理たち

「田舎に暮らすってことはすごく幸せやと思うんです。野菜が自分の周りにいくらでもあるからね。
普段の料理も、『あ、これが足らんわ』と思ったら、畑からとってきて使ったりしてるんですよ。
そういうことが何より幸せやなと思うし、都会にいる子供たちにもなるべく野菜を送りたいと思っています』

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地産地消の、シンプルで、どこか贅沢な暮らし。
それを愛する智津子さんは今、氷上つたの会の活動を新しいメンバーに譲り、ご自身はご主人と一緒に安全で安心な丹波栗、丹波の野菜を全国に発信していくという展望を持っています。熱い思いと大きな懐を持つ智津子さんと話した時間は、彼女が多くのメンバーの心の支えになってきたことを思い起こさせる優しい時間でした。

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interview / writing : Asako Saiki

|  Information  |

大木農園    0795-82-0975
http://www.tambaru.com/product/details1.php?id=207
智津子さんご夫婦の農園では丹波栗をつくっています。

氷上つたの会  0795-82-4839
漬物、梅干し、お弁当、ケチャップ等の販売、
各種イベント出、常時加工品取扱い

ひかみ四季菜館 0795-82-8766 丹波市氷上町犬丘467-1
http://tambafan.jp/modules/map/index.php?content_id=2
つたの会のお料理が食べれるお食事処があります。数は限定なのでお早めに。
サバ寿司、七色の太巻き寿司、茄子の芥子づけ、その他加工品が購入できます。

春日おばあちゃんの里  0795-70-3001 春日町七日市710
http://burari.city.tamba.hyogo.jp/gourmet/obasato.html
ケチャップ、漬け物などの加工品のみ購入できます(要問合せ)