くりぼう会 吉田貴美さん 
親子にやさしい里山子育て

 

大地に太陽、雨風の恵み、たくさんの命に、感謝して生きる。

里山の自然と、ありのままの子供、そしてそれを見守る「お母ちゃん」の目。自然の中で戯れ、集い、時には子供同士で喧嘩したり仲直りしたりもしながら、ゆるやかな時を過ごす丹波市の子育てお散歩サークル「くりぼう会」。

「くりぼう会」という母と子の集いの場では、
子供たちが泥んこになったり手仕事をしたり、体を使った遊びで生き生きと過ごせるだけでなく、
その母親もまた、母親同士の語らいの中で自分を、子育てを見直しながらほっと一息、
ゆるやかな子供との時間を楽しむことができます。

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kuribo2 photo | 氷上町ごんげんさんでの、「くりぼう会のお月見」の日

そんなくりぼう会を、友人二人とともに立ち上げたのは、氷上町に住む吉田貴美さん。「お母ちゃん」たちの普段の想いや言葉を温かくうなずきながら受け止めるしなやかさと、柔らかい笑顔。その持ち主である貴美さんの暮らしを知りたくて、私たちは彼女のお宅を訪ねました。

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貴美さんはもともと、丹波生まれの丹波育ち。
仕事や結婚というライフスタイルの変化に応じて京都や富山へと移り住み、6年前に丹波へと帰ってきました。

「子どもと一緒におる時が楽しい。特に一緒に散歩している時間が好きで、ずっと大切だった。散歩している間は、家事とかを置いておけるし、『子どもと自分だけ』の時間、子どものペースを大切にできるから。『どんなことに興味があるんだろう』って立ち止まったり、一緒に『すごいなー』って感心したり。そんな自分と子供だけの時間が、すごく好き」。

心から嬉しそうに語る貴美さん。子どもと自分の間に流れる濃密で贅沢な時の流れ。日常のしがらみに邪魔されない、子供の眼鏡で見る世界。そんな楽しい「おしごと」がここにあるということを紹介したい、そんな想いが、くりぼう会には込められています。

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貴美さんの人生の転機は、ご主人の仕事の都合で富山県に住んでいた時でした。
身寄りも知り合いもいない場所で幼い子を抱え、白紙から人の繋がりを築いた貴美さん。
そんな中、特に支えになったのが母乳のサークルで知り合った母親仲間だったそう。

「年齢とか仕事も関係ないし、絶対子どもがいなかったら出会えなかったような友達。
自分と全然違うお母さんとしゃべったら、『あぁこんな考え方があるんだなぁ』って感心したり。
そんな出会いが楽しかった」

その後、縁があり、大自然の中、ご夫婦ともに住み込みで循環農業の研修に入りました。

「山奥で、水力で自家発電して、自給自足を試行錯誤してるところやって、
それを間近で見てるのは、すごく楽しかった。
それに、虫も野生動物もたくさんいるところでの暮らしは、
『虫が来る、動物が来る』のじゃなくて、そういう自然の中に自分達は生きているんやって、
私達は自然の一部なんやって、当たり前に思わされた。」

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そのような日々の中、知人の飼い犬が亡くなり、木の根元に埋葬しているのを遠目に眺めていたという貴美さん。
埋められている犬、吹き抜ける風、舞い降りてくる落ち葉。それが一枚の絵のように貴美さんの心に貼り付きました。
犬は亡くなってしまったけれど、埋められて、それは木の養分になり、その木が葉を散らしてまた土を肥やす。
めぐる命、続いていく命。言葉にならないようなひと時の「真実」がそこにありました。
虫も、動物も、人も、皆同じ。当たり前にある営みを続けていく。

子どもの目線で、子どもの時間で過ごす場所。
それは貴美さんにとって肩肘すら張らない、ごく当たり前の自然な営みなのです。

丹波に帰ってからは生まれ育った家と土地で、
自分たちにできる「当たり前の暮らし」を模索し続けている貴美さん。

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 photo | 軒先で干されている手づくりの梅干し

「野菜でも、自分たちで作ったものを大切に食べたい。
今うちでは作れない、たとえば肉とか魚とかは買うけれど、
やっぱりちゃんと『命』として大切に育てられたものを買いたいと思ってる」

畑はこうしたい、庭はこうしていきたい…様々な夢を描く貴美さん。
その夢を、長い目でゆっくりと叶えたい、と語る姿はやはりたおやかで、
柔らかい微笑みがそれを縁取っているのでした。

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interview / writing : Asako Saiki

| くりぼう会  |

里山で過ごす子供との時間を楽しみませんか?
ご興味のある方は、チラシに記載してある連絡先にご連絡ください。

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